![]() | チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ (1993/11/26) シェリル・クロウ 詳細を見る |
シェリル・クロウをはじめて知ったのは恐らくウッドストック94の映像を観た時だと思う。アコースティックギター片手に「Run, Baby, Run」を歌う彼女について、雰囲気のある曲だとは思ったがそれ以上のインパクトはなかった。その後、FMから流れる「All I Wannna Do 」を聴き、ファーストアルバム『チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ』 を購入した。そしてその1曲目に収録されている「Run, Baby, Run」の訳詞を目にし、シェリル・クロウというアーティストが、どういったスタンスをもったアーティストであるのか知ることとなった。
♪ She was born in November 1963 The day Aldous Huxley died
彼女は1963年11月に生まれた オルダス・ハクスリーの死んだ日だった
シェリル・クロウ自身の誕生日は 1962年2月11日 だから、この歌詞と一致してはいない。しかし詞の内容は自身のことを歌っているようにもとれる。なぜ自身の誕生日と異なる日を選んで歌詞にしたのか・・・ずっと理由がわからなかった。
オルダス・ハクスリーはイギリスの作家で、後に米国へ移住した。ドアーズのバンド名の由来 『知覚の扉』 の作者でもある。※1
「Run, Baby, Run」 の歌詞にあるとおり、オルダス・ハクスリーは 1963年11月22日 に亡くなった。しかし、その同じ日、1963年11月22日は、ジョン・F・ケネディが暗殺された日でもあった・・・。
JFK暗殺は米国現代史のターニングポイントとなり、これまで当ブログでもシリーズ 『ジョン・レノンが殺された意味』 の中で関連したことについて触れてきた。べトナム戦争の終結を願い、米国内の公正を求める人々にとって、ケネディの暗殺はとてつもなく大きなショックであったことは想像に難くない。
オルダス・ハクスリーが死んだ日=JFKが暗殺された日
それが「彼女」が生まれた日だ。
つまり米国の希望が失落したその日のことをシェリル・クロウは書いたのであり、そして希望が失落した日に、詞の中の「彼女」は生まれた。失望に暮れる人々の新たな希望の象徴として・・・。
♪ He faild and taught her youg
♪ The only thing she'd need
♪ To carry on
♪ He taught her how to
♪ Run baby run baby run baby run
♪ Baby run
苦い経験をしたパパは、小さなころ彼女に教えた
人生を生き抜くため、彼女が必要とし続けるただひとつのこと、
走り続けることを・・・
詞の中の「彼女」とは、シェリル・クロウ自身のことでもあり、そしてまたその詞を聴いて自己に重ね合わせるすべてのリスナーのことでもあり、さらには「米国の希望」のことでもあるように思う。そして「米国の希望」も走り続けなければならないと彼女は歌っているように思えるのだ。
シェリル・クロウが絶大な支持を受け続けているその理由には、もちろんロックとしての曲のセンスのよさ、女性アーティストとしての格好よさがあるのは述べるまでもない。それに加えて、その歌詞に、ハイレベルなメッセージ性を兼ね備えた、詞としての存在価値があるからこそと、俺は思う。
彼女のサイト、そして彼女のブログから、そのメッセージを感じ取って欲しい。
●リンク:シェリル・クロウ公式サイト(HP&プログ)
※1 「知覚の扉」という言葉自体は18世紀の詩人ウィリアム・ブレイクの詩の一節からとられたもの。
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