東京・秋葉原にはアコースティック専門のライブハウス「秋田犬(あきたいぬ)」がある。以前からネットで知っていて、場所も確認していたのだが、いつもタイミング悪く足を踏み入れたことはなかった。火曜日、ネットでスケジュールを確認したところブッキングの日であったため、思い立って行くことにする。出演者のあてもなく初めてのハコに行く場合、レポを書く事はまずない。今回もそのつもりであったのだが・・・・。
地下鉄秋葉原駅から地上に出て、昭和通りの東側エリアを歩く。秋葉原のライブハウスはこのエリアに点在している。神田川を渡り、国道14号を左へ曲がる。ローソンを超えて左の路地へ入ると「秋田犬」の看板が見えてくる。ビルの地下へ降り、鉄の扉を開けるといきなり防音扉。その扉をさらに開けて中に入るとまだ開場前。カウンターで料理の準備をしていた女性に中で待つように促される。時間が来て受付開始。
受付をする彼女 「今日はmonotoneを観にいらしたんですよね?」
俺 「いや、違います。特に誰でもないです。」
席について待っていると、カウンターのほうで話が聞こえてくる。
受付の彼女 「特に誰でもなく来たそうです。」
店の人らしきおじさん 「ウッソーだろう!?」
今日は目立つこともせず、おとなしくしていようと思っていたのだが、最初からその目論見は外れる。
「ウッソーだろう!?」と驚いていたおじさんがつかつかとやってきて、挨拶がてら話かけてきた。
おじさん 「今日は特に誰の目当てもなく来たそうですね?」
俺 「そうです。そういう人ってなかなかいないですよね?ハハハッ(笑)」
おじさんはこのライブハウスのマスターだという。そんな話をしているうちに、通路を挟んで隣に座っていた女性のお客さんや、PAの人もやってきて談笑することに。秋葉原のライブハウスや都内のライブハウスの話に花が咲く。「お茶の水のXXXってライブハウスは滅茶苦茶オシャレですよね~」「そう!そう!」。そして開演前から自分のことを話すはめに。
隣のお客さん 「今度一緒に出ましょうよ~、ね?」
ライブハウスへ行くたびに思わぬ展開となることが多いが、いきなりここまでなるケースはそうはない。
最初の出演者はソロの菊池ゆうすけさん。ダンスミュージックのようなオケが流れ、踊りながら一人で歌いだす。そのあまりのテンションの高さに「ここに来たのは間違いだったか・・・」リアクションに困りながらそんな思いが頭をよぎり、菊池さんと目を合わせないように注意する。
菊池さんがキーボードのところに行って鍵盤を弾き始める。よくわからなかったが本当に弾いているようだ。鍵盤を弾くテンションも激烈で、グリスしまくり、頭振りまくり。
しかしだんだん「スゲーな~」と思い始めるようになる。指の動きが滅茶苦茶早い。しかし間違いなく弾いている。
クリスマスについて、MCなのか一人芝居なのかよくわからないネタを披露した後、再びダンスミュージックスタート。しかし一度「スゲーな~」と思い始めると、今度はこちらの足も自然にノッてくる。客と出演者のかけひきを考える時、ここらへんがポイントなのか。
菊池さんは踊りながらネクタイを外し、シャツを脱ぎ、上半身裸になる。スリムで引き締まった腹筋、いい体している。俺が女性だったら惚れたかもしれない。これで下も脱いだら退場だろうな~と思いながらも、持続するテンションに圧倒される。
自分でも信じられないことに、もしかしてベストN郎♪賞候補か?などと考え始める。菊池さんは上を見上げ、「二階、ノッてるか~い!!」と叫び出す。もちろんこのハコには二階席などない。今度はこちらを見て、「アリーナ!!ノッてるか~い!!」と振ってくる。振り向いて周囲のお客さんの反応を見る。おそらくその大半が本日のメインmonotoneのお客さんと思われる男性客、ウケてると思われる人は半分ぐらい。あと半分は顔が硬直して固まっているように見える。しかしそんなことはお構いなく、菊池さんは最期にステージで仰向けに寝転がる。テンションは最期の最期まで途切れることなく、ステージを終える。
見事な芸っぷり。ここまで吹っ切れてステージを完遂出来る人はそうはいないと思う。ライブで最悪なのは出演者のやる気がなかったり、ふて腐れていたりすること。菊池さんのステージはそのまったく逆。ウケるウケない以前に最期まであのテンションでステージを演じきる根性と意識はスゴイものがある。もし自分に万が一のことがあったとしたら、アウフヘーベンのヴォーカリストには彼を推薦する。
隣のお客さん 「わたし二回目だからあれだけど、初めて見たときはびっくりしたわ」
きっと初めて見たときはショックだったろう。しかし彼の芸人根性は天晴れ。・・・彼は本当にスゴイ人なのかもしれない。以下、HP、ブログ写真あり、プロフィール要チェック。
●リンク:菊池ゆうすけHP
2番目の出演者の高見沢みなもさんもソロ。女性ながら、怪しいメイクと悪魔っ娘衣装で悪魔の一人芝居を演じる。これまたどうリアクションしていいかわからないようなネタにどうしたものかと思っていると、ステージ中央に配置されたキーボードを弾き始める。しかしその鍵盤演奏が実に美しく素晴らしい。技術的素晴らしさはもちろん、音楽的センスにあふれた鍵盤演奏で、さらには歌まで歌いだす。で、歌もまた上手い。単に鍵盤を弾いて歌うのではなく、一人芝居をしながら演奏するスタイルにはそれなりの理由があるのだろう・・・今度インタビューしてみたい。
ライブ後、彼女の演奏を激賞し、話を聞く。演奏の多くはなんと即興演奏だったという。「一緒に組みませんか?」と口説いてみると、すでに他のバンドのキーボードをやることになっているとのこと。惜しい。
3番目の出演者はキーボードとボーカルユニットのmonotone。本日のメインで、いつもは代々木公園で路上ライブをしているという。お客さんの数が圧倒的で、男性客が多い。ボーカルのtakakoさんはアイドルのようで、彼女の屈託なく、天使のように素直な笑顔がきっとファンの心を掴んで離さないんだろう。かわいいだけではなく、一生懸命努力して音楽活動をしている様子が伝わってくる。応援したくなるファンの気持ち、わかる。ラストの曲ではフルアレンジのオケも入り、天井でゆっくり回っているミラーボールの照明にマッチしていた。
takakoさんは演奏後、お客さん全員にクリスマスプレゼントのアメの入った子袋を配って歩き、俺ももらった。ありがとうございました。プリンの占い付きチョコレート、大吉でした。
●リンク:monotoneブログ たかこみゅっ♪
最期の出演者はライブハウスマスターの馬場孝幸さん。「ウッソーだろう!?」のおじさんだ。渋いブルースギターを弾き始め、同じく渋いヴォーカルで聴かせる。ライブハウスの名前の由来はマスターの犬好きから来ているという。最前列で見ていた家族連れのお客さんの小さな女の子は、馬場さんのドラム口真似に大ウケし、その笑い声がまた会場の他のお客さんの笑い声を誘う。ペンライトを持っていたmonotoneのお客さんを真似て、馬場さんのお客さんは携帯電話の明かりをペンライト変わりに頭上で振る。それを見て馬場さん、複雑な心境を吐露する。
クリスマスということで、ライブハウスではお客さんに無料でチキンやポテトの料理を提供していて、俺もありがたく頂いた。極めて稀ではあるが、客の飲食代を水増し請求するようなインチキな店もある中、ライブガレージ秋田犬のコンセプトは大したものだ。好きだからこそやってられる、儲けよりも、みんなやりたいことを思いっきりやろう!というマスターの発想と人柄が、この場所を伝説の名ライブハウスにしていくのではないだろうか。きっとそうなっていくと思う。俺もここ、また来るよ。
●リンク:Live Garage 秋田犬
地下鉄秋葉原駅から地上に出て、昭和通りの東側エリアを歩く。秋葉原のライブハウスはこのエリアに点在している。神田川を渡り、国道14号を左へ曲がる。ローソンを超えて左の路地へ入ると「秋田犬」の看板が見えてくる。ビルの地下へ降り、鉄の扉を開けるといきなり防音扉。その扉をさらに開けて中に入るとまだ開場前。カウンターで料理の準備をしていた女性に中で待つように促される。時間が来て受付開始。
受付をする彼女 「今日はmonotoneを観にいらしたんですよね?」
俺 「いや、違います。特に誰でもないです。」
席について待っていると、カウンターのほうで話が聞こえてくる。
受付の彼女 「特に誰でもなく来たそうです。」
店の人らしきおじさん 「ウッソーだろう!?」
今日は目立つこともせず、おとなしくしていようと思っていたのだが、最初からその目論見は外れる。
「ウッソーだろう!?」と驚いていたおじさんがつかつかとやってきて、挨拶がてら話かけてきた。
おじさん 「今日は特に誰の目当てもなく来たそうですね?」
俺 「そうです。そういう人ってなかなかいないですよね?ハハハッ(笑)」
おじさんはこのライブハウスのマスターだという。そんな話をしているうちに、通路を挟んで隣に座っていた女性のお客さんや、PAの人もやってきて談笑することに。秋葉原のライブハウスや都内のライブハウスの話に花が咲く。「お茶の水のXXXってライブハウスは滅茶苦茶オシャレですよね~」「そう!そう!」。そして開演前から自分のことを話すはめに。
隣のお客さん 「今度一緒に出ましょうよ~、ね?」
ライブハウスへ行くたびに思わぬ展開となることが多いが、いきなりここまでなるケースはそうはない。
最初の出演者はソロの菊池ゆうすけさん。ダンスミュージックのようなオケが流れ、踊りながら一人で歌いだす。そのあまりのテンションの高さに「ここに来たのは間違いだったか・・・」リアクションに困りながらそんな思いが頭をよぎり、菊池さんと目を合わせないように注意する。
菊池さんがキーボードのところに行って鍵盤を弾き始める。よくわからなかったが本当に弾いているようだ。鍵盤を弾くテンションも激烈で、グリスしまくり、頭振りまくり。
しかしだんだん「スゲーな~」と思い始めるようになる。指の動きが滅茶苦茶早い。しかし間違いなく弾いている。
クリスマスについて、MCなのか一人芝居なのかよくわからないネタを披露した後、再びダンスミュージックスタート。しかし一度「スゲーな~」と思い始めると、今度はこちらの足も自然にノッてくる。客と出演者のかけひきを考える時、ここらへんがポイントなのか。
菊池さんは踊りながらネクタイを外し、シャツを脱ぎ、上半身裸になる。スリムで引き締まった腹筋、いい体している。俺が女性だったら惚れたかもしれない。これで下も脱いだら退場だろうな~と思いながらも、持続するテンションに圧倒される。
自分でも信じられないことに、もしかしてベストN郎♪賞候補か?などと考え始める。菊池さんは上を見上げ、「二階、ノッてるか~い!!」と叫び出す。もちろんこのハコには二階席などない。今度はこちらを見て、「アリーナ!!ノッてるか~い!!」と振ってくる。振り向いて周囲のお客さんの反応を見る。おそらくその大半が本日のメインmonotoneのお客さんと思われる男性客、ウケてると思われる人は半分ぐらい。あと半分は顔が硬直して固まっているように見える。しかしそんなことはお構いなく、菊池さんは最期にステージで仰向けに寝転がる。テンションは最期の最期まで途切れることなく、ステージを終える。
見事な芸っぷり。ここまで吹っ切れてステージを完遂出来る人はそうはいないと思う。ライブで最悪なのは出演者のやる気がなかったり、ふて腐れていたりすること。菊池さんのステージはそのまったく逆。ウケるウケない以前に最期まであのテンションでステージを演じきる根性と意識はスゴイものがある。もし自分に万が一のことがあったとしたら、アウフヘーベンのヴォーカリストには彼を推薦する。
隣のお客さん 「わたし二回目だからあれだけど、初めて見たときはびっくりしたわ」
きっと初めて見たときはショックだったろう。しかし彼の芸人根性は天晴れ。・・・彼は本当にスゴイ人なのかもしれない。以下、HP、ブログ写真あり、プロフィール要チェック。
●リンク:菊池ゆうすけHP
2番目の出演者の高見沢みなもさんもソロ。女性ながら、怪しいメイクと悪魔っ娘衣装で悪魔の一人芝居を演じる。これまたどうリアクションしていいかわからないようなネタにどうしたものかと思っていると、ステージ中央に配置されたキーボードを弾き始める。しかしその鍵盤演奏が実に美しく素晴らしい。技術的素晴らしさはもちろん、音楽的センスにあふれた鍵盤演奏で、さらには歌まで歌いだす。で、歌もまた上手い。単に鍵盤を弾いて歌うのではなく、一人芝居をしながら演奏するスタイルにはそれなりの理由があるのだろう・・・今度インタビューしてみたい。
ライブ後、彼女の演奏を激賞し、話を聞く。演奏の多くはなんと即興演奏だったという。「一緒に組みませんか?」と口説いてみると、すでに他のバンドのキーボードをやることになっているとのこと。惜しい。
3番目の出演者はキーボードとボーカルユニットのmonotone。本日のメインで、いつもは代々木公園で路上ライブをしているという。お客さんの数が圧倒的で、男性客が多い。ボーカルのtakakoさんはアイドルのようで、彼女の屈託なく、天使のように素直な笑顔がきっとファンの心を掴んで離さないんだろう。かわいいだけではなく、一生懸命努力して音楽活動をしている様子が伝わってくる。応援したくなるファンの気持ち、わかる。ラストの曲ではフルアレンジのオケも入り、天井でゆっくり回っているミラーボールの照明にマッチしていた。
takakoさんは演奏後、お客さん全員にクリスマスプレゼントのアメの入った子袋を配って歩き、俺ももらった。ありがとうございました。プリンの占い付きチョコレート、大吉でした。
●リンク:monotoneブログ たかこみゅっ♪
最期の出演者はライブハウスマスターの馬場孝幸さん。「ウッソーだろう!?」のおじさんだ。渋いブルースギターを弾き始め、同じく渋いヴォーカルで聴かせる。ライブハウスの名前の由来はマスターの犬好きから来ているという。最前列で見ていた家族連れのお客さんの小さな女の子は、馬場さんのドラム口真似に大ウケし、その笑い声がまた会場の他のお客さんの笑い声を誘う。ペンライトを持っていたmonotoneのお客さんを真似て、馬場さんのお客さんは携帯電話の明かりをペンライト変わりに頭上で振る。それを見て馬場さん、複雑な心境を吐露する。
クリスマスということで、ライブハウスではお客さんに無料でチキンやポテトの料理を提供していて、俺もありがたく頂いた。極めて稀ではあるが、客の飲食代を水増し請求するようなインチキな店もある中、ライブガレージ秋田犬のコンセプトは大したものだ。好きだからこそやってられる、儲けよりも、みんなやりたいことを思いっきりやろう!というマスターの発想と人柄が、この場所を伝説の名ライブハウスにしていくのではないだろうか。きっとそうなっていくと思う。俺もここ、また来るよ。
●リンク:Live Garage 秋田犬
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