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ジョン・レノンが殺された意味(7) | main | 楽しく生きるコツ
ジョン・レノンが殺された意味(6)
(前回からの続き)

ジョン・レノン暗殺に関する2冊目の本を読み終えた。フィル・ストロングマン&アラン・パーカー著、小山景子訳の『ジョン・レノン暗殺―アメリカの狂気に殺された男』だ。ジョン・F・ケネディ暗殺やロバート・F・ケネディ暗殺についての様々な矛盾点、暗殺と米国保守権力との関わり、そしてまたベトナム戦争でのソンミ虐殺事件、エルサルバドルでのアメリカ人修道女虐殺事件など、米国現代史における負の事件とその背景を指摘していった怒りの告発本ともいうべき内容だった。かなり興味深い内容で、米国の現代史について、よく理解することが出来た。詳細はこのシリーズの次回書くこととしよう。

『ジョン・レノン暗殺―アメリカの狂気に殺された男』の序章では、この著作が前に紹介したフェントン・ブレスラー著『誰がジョン・レノンを殺したか?』に負うところが大きいと記述され、米国の近現代史を解説することでフェントン・ブレスラーの著作を補足するような意味あいもあったのではないかと思われる。最期の章では『誰がジョン・レノンを殺したか?』の反響として、次のような記述がされている。

ジョン・F・ケネディ、キング牧師、ロバート・F・ケネディ、ジョン・レノン、彼らはみんな名誉を傷つけられている。死人に口なしと言われるとおり、彼らが誰かを告訴することはもうできない以上、これほど無防備で狙いやすい標的もないだろう。我々は、汚いやり口の”暴露証言”にまんまと乗せられないよう用心すべきだし、暴露の仮面をかぶった卑劣な攻撃について、その情報源を徹底的に追求すべきだ。例えばイギリスでは、レノンの死とアメリカ情報関連機関とのつながりを初めて正面から論じた著作としてフェントン・ブレスラーの『誰がジョン・レノンを殺したか?』が出版された時、評論家のマイルズ・コープランドが大手新聞に、この本を目茶苦茶にこき下ろす記事を載せた。しかし、コープランドの父親がCIAの共同設立者の一人だったという重要な事実は、もちろんこの記事には一言も書かれていない。


以前、佐野眞一著『東電OL殺人事件』の書評を書いた際にも指摘したが、フィル・ストロングマンが強調しているように、権力機関に関わる調査報道やノンフィクションに対する誹謗中傷を見たならば、その背景を注意深く考える必要がある。

・・・その『誰がジョン・レノンを殺したか?』について、最期までジョン・レノン暗殺にCIAが関与していたという直接的な証拠が提示されることはなかった。しかしジョン・レノンを殺したチャップマンについて、ビートルズマニアでも、ジョン・レノンマニアでもなかったこと、一匹オオカミでも精神的な異常者でもないということ、殺人の動機について説得力ある動機が何一つ提示されていないこと、ジョン・レノンを殺すまでのチャップマンの軌跡には、中東のベイルートに滞在して何らかの体験をしたり、共産圏を含めた世界一周の旅に出たりと、資金的な面を含めていくつもの不可解な点があるということ、そしてジョンを殺すため、わざわざハワイから飛行機に乗って二回もニューヨークへ来ており、二回目にニューヨークへ向かう際、シカゴに滞在したことが隠蔽されていたことなど、これまで世間一般に広まっていた諸説を否定する事実が記載されていた。

フェントン・ブレスラーは、チャップマンによるジョン・レノンの暗殺はCIAによるマインド・コントロールの結果ではなかったかと世に訴えたわけだが、その説は何も突拍子なく驚くような話ではないということを、いろいろ調べていくうちに知ることとなった。次回は『ジョン・レノン暗殺―アメリカの狂気に殺された男』を中心に、それについて書く。

関連記事
●ジョン・レノンが殺された意味(3)/フェントン・ブレスラー著『誰がジョン・レノンを殺したか?』
●佐野眞一『東電OL殺人事件』(1)

(この話続く)



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| ジョン・レノンが殺された意味 | 23:59 | トラックバック:1コメント:0
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