9.11当時、米国最大規模のラジオネット『クリア・チャンネル・ラジオ』はジョン・レノンの代表曲「イマジン」を放送自粛曲リストに掲載した。150曲にも及ぶその自粛曲リストは、発表したのと同じ日に破棄されたが、「国民を刺激しないため」というのが大義名分であった・・・。
この記事を読み、さもありなんと思いながら「イマジン」以外の自粛曲を調べてみたのだが・・・驚くべきことに、多くの洋楽ロックファンが知っている有名曲やアーティストの曲がずらりと並んでいるではないか。例えばレッド・ツェッペリンの「天国への階段」、ドアーズの「THE END」、ボブ・ディランの「Knockin' on Heaven's Door」(ガンズ・アンド・ローゼスのカヴァー版も含む)、ジミーヘンドリックスの「Hey Joe」、ストーンズの「Ruby Tuesday」、そしてサイモン・アンド・ガーファンクルの「明日へ架ける橋」・・・・もうメチャクチャだ。自粛曲リストを眺めたなら、全ての洋楽ファンは怒りの声を挙げることだろう。
●リンク:米国同時多発テロで放送禁止になった音楽リスト
レノンの「イマジン」のような国粋主義に反する政治的な曲が自粛されるのは意味がわからなくもない。が、サイモン・アンド・ガーファンクルの「明日へ架ける橋」のような勇気と希望を感動的に歌い上げた曲まで自粛リストに掲載されるとは・・・。これはつまり国家的な非常事態となった場合、言論の自由も表現の自由も、保守的などこかの誰かによって好き勝手に規制させられてしまうということを意味している。ロックを限りなく愛する音楽ファンは、自分らの楽しみが言論の自由と表現の自由の上に成り立っているということをよく理解すべきだ。ロックとはもともと反体制・反保守なスタンスから出発している音楽であり、ロックを愛するならば、言論の自由と表現の自由に対しても敏感であるべきなのだ。
「明日へ架ける橋」の自粛については以下のブログが詳しい
●リンク:多分、オトナです。 「奪ったのはテロリストか、政府か。」
自粛曲リストを注意深く見ると、唯一全曲が放送禁止に挙げられたアーティストがいることに気付く。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンだ。実は90年代後半、自分もレイジが大好きで、バンドでコピー演奏したこともあった。ツェッペリンに連なる完璧なハード・ロックの音楽性を持ちながら、マルコムXやムミア・アブ・ジャマールをジャケットに掲げるバンドの姿勢に、米国にはスゲーバンドがあるな~と思っていた。マイケル・ムーアの映画を観て、その表現を許容する米国の寛容さに驚いたというような意見をよく見かけるが、レイジの音楽は『華氏911』どころではない。・・・しかし9.11を境としてレイジはバンドとして不幸な時代を迎えることとなる。レイジについては別の機会にまた書くこととしよう。
「イマジン」に話を戻すが、1991年のいわゆる湾岸戦争当時も、この曲は英国BBCの自粛曲となった(67曲の中の1曲)。自粛期間は湾岸戦争開戦から戦争終結までにも及び、戦争を遂行したがる側がいかにこれらの曲を恐れていたかがわかる。9.11の場合に注目すべきは、「イマジン」が自粛されたということが逆に世界の注目を集める結果となり、そのような自粛ムードを打ち破るかのように、米国4大ネットワークによる犠牲者追悼チャリティ番組でニール・ヤングがこの曲を歌ったということだ。2006年のトリノオリンピック開会式ではピーター・ガブリエルが熱唱し、同じ年の紅白歌合戦では布施明も歌っている。
たった数分の音楽、30行に満たないこの歌詞が、平和を願う世界の人々に対してどれだけの可能性と力を与えたことか・・・この曲を想起するたびに、世界共通語としての音楽のもつ計り知れないパワーを感じずにはいられないのだ。
この記事を読み、さもありなんと思いながら「イマジン」以外の自粛曲を調べてみたのだが・・・驚くべきことに、多くの洋楽ロックファンが知っている有名曲やアーティストの曲がずらりと並んでいるではないか。例えばレッド・ツェッペリンの「天国への階段」、ドアーズの「THE END」、ボブ・ディランの「Knockin' on Heaven's Door」(ガンズ・アンド・ローゼスのカヴァー版も含む)、ジミーヘンドリックスの「Hey Joe」、ストーンズの「Ruby Tuesday」、そしてサイモン・アンド・ガーファンクルの「明日へ架ける橋」・・・・もうメチャクチャだ。自粛曲リストを眺めたなら、全ての洋楽ファンは怒りの声を挙げることだろう。
●リンク:米国同時多発テロで放送禁止になった音楽リスト
レノンの「イマジン」のような国粋主義に反する政治的な曲が自粛されるのは意味がわからなくもない。が、サイモン・アンド・ガーファンクルの「明日へ架ける橋」のような勇気と希望を感動的に歌い上げた曲まで自粛リストに掲載されるとは・・・。これはつまり国家的な非常事態となった場合、言論の自由も表現の自由も、保守的などこかの誰かによって好き勝手に規制させられてしまうということを意味している。ロックを限りなく愛する音楽ファンは、自分らの楽しみが言論の自由と表現の自由の上に成り立っているということをよく理解すべきだ。ロックとはもともと反体制・反保守なスタンスから出発している音楽であり、ロックを愛するならば、言論の自由と表現の自由に対しても敏感であるべきなのだ。
「明日へ架ける橋」の自粛については以下のブログが詳しい
●リンク:多分、オトナです。 「奪ったのはテロリストか、政府か。」
自粛曲リストを注意深く見ると、唯一全曲が放送禁止に挙げられたアーティストがいることに気付く。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンだ。実は90年代後半、自分もレイジが大好きで、バンドでコピー演奏したこともあった。ツェッペリンに連なる完璧なハード・ロックの音楽性を持ちながら、マルコムXやムミア・アブ・ジャマールをジャケットに掲げるバンドの姿勢に、米国にはスゲーバンドがあるな~と思っていた。マイケル・ムーアの映画を観て、その表現を許容する米国の寛容さに驚いたというような意見をよく見かけるが、レイジの音楽は『華氏911』どころではない。・・・しかし9.11を境としてレイジはバンドとして不幸な時代を迎えることとなる。レイジについては別の機会にまた書くこととしよう。
「イマジン」に話を戻すが、1991年のいわゆる湾岸戦争当時も、この曲は英国BBCの自粛曲となった(67曲の中の1曲)。自粛期間は湾岸戦争開戦から戦争終結までにも及び、戦争を遂行したがる側がいかにこれらの曲を恐れていたかがわかる。9.11の場合に注目すべきは、「イマジン」が自粛されたということが逆に世界の注目を集める結果となり、そのような自粛ムードを打ち破るかのように、米国4大ネットワークによる犠牲者追悼チャリティ番組でニール・ヤングがこの曲を歌ったということだ。2006年のトリノオリンピック開会式ではピーター・ガブリエルが熱唱し、同じ年の紅白歌合戦では布施明も歌っている。
たった数分の音楽、30行に満たないこの歌詞が、平和を願う世界の人々に対してどれだけの可能性と力を与えたことか・・・この曲を想起するたびに、世界共通語としての音楽のもつ計り知れないパワーを感じずにはいられないのだ。
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